映画『ボックス!』『ソラニン』

http://www.box-movie.jp/index.html  (※リクエストあったしついでに『ソラニン』も。でも、ちょこっとだけです申し訳)



「やんちゃな天才ボクサー・カブ(市原隼人)に憧れてボクシングを始めた気弱な優等生・ユウキ(高良健吾)。
練習を重ね次第に才能を開花させ強くなっていくユウキ。いつしか2人は拳を交えることに。
そしてユウキはカブを倒してしまい〜」って、見たわ!ええ、見たよDVD持ってるよ!これ何て『キッズ・リターン』?!
「オレたちパクちゃったのかな?」「バカ野郎!パクりきれてねぇよ!」な出来かと内心怖々見に行ったんですが、これが!
いや〜、めちゃくちゃ良かったんですよ。結論としては『キッズ〜』とは全然違ってて、これもまたこれで凄く良かった。
ここんとこ李闘士男監督いいね!「真っ直ぐ熱い男」を描かせたらピカイチやな。今すぐ関ジャニ∞と何か仕事を!(切実)。
ジャニで言うならHey!Say!JUMPじゃないです。NEWSでもKAT-TUNでもない。この監督は関ジャニ∞!めっさハマるはず。
あと、映画でしたら山田孝之は最優先でお願いします。どっぷりビッチリお願いします。傑作コースの予感です。
そんな希望かつ妄想はさておき、この映画。ストーリー自体は「王道のスポ根青春映画」です。まぁベタ。ベッタベタ。
「きっと○○のカットで終わるだろうな」と、大オチなんて誰でも途中で気が付くはずです。それぐらいベタなんです。
でも全然イヤじゃない。むしろ大オチは「その“お約束”、待ってましたぁ!」なのだ。気持ち良かったねぇ。
全編ほんっと見てて気持ちが良かった。「王道は、そして青春映画はこうでねぇと!」なのだ。確かにベタですよ。
でも青春スポ根テンプレを雰囲気だけでなぞった陳腐なベタさは微塵も感じられない。しっかりと中身や情熱がある。
「何を、どう見せたいか」がキッチリ監督の中に、スクリーンにある。愛情たっぷりに優しくあったかく。
シナリオも良い感じ。思わず「ぷっ」と吹いちゃう個所がいくつか。しかも熱すぎずクサすぎず良い塩梅でさ。
ごっつ見切れてる程度の脇役までキャラが生きてる。台詞が弾んでる。存分に熱を、パワーを感じる映画やったな。
そして。わたくし的に「男の子がちゃんとカッコ良い!!!」のがとても嬉しい(笑)。これは大事なことだ。大事なことですよ。
我が人生にとって最も大事なことなので何度でも声を枯らして訴えたいっすわ。もちろん、この「カッコ良い」というのは、
顔カタチがカッコ良いということではない。殴られて腫れてボコボコ紫アザだらけ歪みフェイス(メイクだけど)でもカッコ良い。
だからこそカッコ良いっていうな。だってガチなんだもん。映画の中で谷村美月ちゃんが「ボクシング時はキラキラしてるね」って、
そんな台詞があるの。この「キラキラしてる」がね、ごっつ説得力ある。なんつっても圧巻のボクシングシーン!
試合中スタントも使わず2分間にも渡る長回し。これぞガチ。あまりの臨場感に息ができないほどの。汗も、湯気もとってもリアル。
何より、スクリーンに大写しになる・・現状を、自分を、友を見つめる彼らの眼差しにはオバハン胸が締め付けられたってばよ。
ンま〜、キレイっつーか何っつーか!情感たっぷりに撮ってくださってて監督グッジョブすぎるぜ!あざす!
相変わらず市原の睫毛の長さってば天にも届く勢いでバッサバサしてましたわ。これ天然ってズルすぎ(笑)。
相手役?の「銀幕の王子」こと高良健吾もいい。彼は『ソラニン』ではイマイチで。『ソラニン』の場合は種田って役がいかん。
私は「永遠の青春という名の中2病グルグル男子」が大好きで、そういう男子を描いた映画は大好きなんだけど、
オチがどうであれ、「グルグルグルグル・・あっちへ行ったりこっちへ行ったり、ンでもさ、オレはオレなんだァ」みたいな、
こういう男子を描いた映画は大好き。こういうのは邦画じゃないとね。こういう映画こそ邦画で。邦画だからこそ。
だけど『ソラニン』で描かれた高良くん演じる種田は「理想やプライドばっか高くて、でも自信ないし才能ないかもと不安だし、
だからって他人にヤツ当たりするような、結果、バイト放棄するようなサイテー野郎」だったのである。そうとしか見えんかった。
これはワシがオトナだからではない。作り手が、あまりにも原作の趣旨を履き違えてるからかと。そういう作品ちゃうもんな。
「なんじゃこいつ?」って。かと思ったら中盤でガンガン死亡フラグ立て出して、「えー」ってぐらい死亡フラグ立て出して、
死亡フラグ立ったどころか、ビンビンおっ立ったっていうかギンギン滾ってますってぐらい死亡フラグがおっ勃ってて、
案の定マンマと死んだ日にゃ薄ら笑いまで零れてしまったっていうな。これはダメでしょう。もっと上手に作ってくれないと。
これじゃまるで相手役の宮崎あおいちゃんの役がただのダメンズでしかない。ラストの弔いライブも「必死だな」でしかない。
ただ、宮崎あおいちゃんの歌は良かったなぁ。あと、サンボマスターの人が異常に良かった。桐谷健太も高値安定。
なんだか一方的に「ところで・・あいつ何だったの?」で終わったという、高良健吾だけが損したように見えた映画。残念。
だが、今回は違いますぜ。これは高良健吾も美味しい。ド素人〜それなりに見えるまでの過程が丁寧に描かれており、
彼が演じるユウキの「一番大切な友達だからこそ、あいつ(カブちゃん)に負けたくない!」という気持ちや、
「一番大切な友達だからこそ、今、そんなオマエ(カブちゃん)にイライラするんだ!」という気持ちがグーッっと伝わってくる。
こういうのは女友達同士には決してない感覚だと思うしさ、彼らの関係性は腐目線で見ても充分に楽しめるはずです!(キッパリ)。
お芝居としてはボクシングシーン込みで市原に押されてるんだけど、でもそこが凸と凹な2人の役にも似てて、それはそれで。
そして!・・・皆さま、ご報告いたします。日々亀田化が進行中の市原隼人が、このたび完全に亀田化しました!(ガガーン)。
うっすら気付いてましたけど、もう『リリィ〜』の頃の繊細でキャワゆいイッチーはどこにもいません。さようなら。チーン。
この役者さんは良くも悪くもバカ正直なお芝居をする方で、ノって演ってる時とノってない時では全然違う。
いやぁ、ノってますよ今回は。ノってる時の市原は「成る」からな。でも憑依型タイプの役者さんとはまた違ってて、
自分の中に在るものと役のキャラに在るものとの接点を探して、共通項から広げて解釈しつつ役を作っていくタイプの役者さんかと。
計算できないタイプなんだろね。でも本能で演じちゃうから困っちゃうわよ。こういう役者はハマると特大ヒット打つからね。
大阪弁は、今まで見た他の役者に比べると頑張ってる方だけど、でもお世辞にも上手とは言えないし(でも途中で慣れた)、
何といってもキャラが・・ビジュアルも口調も亀田節全開だしバカだし下品だし無駄に声デカいしウザいしダサいし
実生活では絶対にお近づきになりたくないっていうかカブちゃんみたいな男ホンキで大嫌いなんだけど、なのにさぁ?!
市原はそんな男を実に魅力的にスクリーンに叩きつけてきよる。んで見入っちゃう。カラダもごっつ作りあげてきてて、
ンま〜あ、・・・顔同様、カラダもホクロが多いのね☆なんてね。なんてねじゃねーよキモババア。もとい。なかなか美味ですた。
や、とにかく撮ってるやつも演じてるやつもホンキ。全然知らんけどホンキ。違いない。そう断言できる気持ち良い映画でした。
あと何あったかな。んでもこれはとっても正しい「男の子映画」。男大好きで映画大好きなワシはたまにこういう作品に出会うと
ほんっとうに気分が良い。大好きだもん。男の子ばんざい、青春ばんざい、ベタばんざい(笑)。そうそ!また遠藤要が!
『ROOKIES』では「野球できなくしてやろうか?」役だったのが、今回は「ボクシングできなくしてやろうか?」みたいな役で、
最近は青春モノのチンピラ役を一手に引き受けており、波岡一喜の椅子を着々と脅かしております。以上、ご報告まで(笑)。