映画『陰日向に咲く』

監督は『そのときは彼によろしく』を撮った平川雄一郎、
そして脚本は色んな意味で有名な金子ありさ。ほほぅなるほど。ってことは、
映画というよりもチンカスもしくはビチグソだろうと覚悟を決めて行ったんですけど
思いのほか結構良かったんでホッと一安心。それどころかとにかく泣けた。
宣伝文句は「泣けるでぇ!(byキンタロス)」でええんちゃう。
「泣きたい症候群」の今日この頃、客のニーズにピッタリフィットな内容やし、
出演は岡田准一宮崎あおい緒川たまき三浦友和西田敏行などなどキャストも豪華。
老若男女、客を選ばない映画だと思うしこれは当たりそうだ。
先に言うとく、大ヒットおめでとうございます。
ちなみに劇団ひとりが書いた原作本は発売当初に買って読みました。
かなり前なんであんまし細かいとこまで覚えてないけど面白かったなぁ。
確か「オレオレ詐欺」「遺言」のくだりでベロベロに泣いちゃった気がするぞ。
そう、これ原作もよう出来てたしな、そりゃ映画もええに決まってるわ。
だけど監督と脚本って映画の“肝”でしょ?なので不安だったんですが、こりゃぁ嬉しい誤算だぜ。
平川監督いいねえ。特に空と街を撮るのが好きなのか実にいい感じで画作りがナイス。
今回は時間も予算もタレントスケジュールもあって、
なおかつ無茶を言ったり余計な口を挟むおエラ方がいなかったのかなぁと邪推(笑)。
ですが恐れていた通り脚本はあんまし・・。
原作ってさ、これほどまでに何から何まで誰彼かまわず連鎖してたっけ?!
たぶんかなり手を加えられてると思うんだよね。
「役ひとつにつきエピソードを2つ突っ込む」みたいなことをしちゃってるんじゃないかな、
とにかく強引に「人と人はどこかで繋がってますYO♪」←これに拘りすぎたせいで
あまりのご都合主義な人間関係や展開にちょいとばかり唖然。
何度も「あれ?こんな話だったっけ?」と首をひねり。
そして何ともリンクしてないアイドルファンとミャーコのエピソードだけが浮いてる感じ。
これって是非モノだったのか。アタシャこういう話はヲタ魂が燃えるので大好きやけどな(笑)。
んー。あの原作を2時間で収めなきゃならんので仕方ないっちゃぁ仕方ないが、
ふと冷静になれば「この街せまっ!」「人少なっ!」。うっかり全員関係者。
ゴシップ誌によく載ってる「芸能界の男女交遊録」かのよう。
もうちょっと何とかならんかったんかいブツブツ。正直そこだけが気になるけど、
でも先述した「オレオレ詐欺」「遺言」のくだりはもっちろん映画でもボヒンボヒン泣けちゃって、
涙腺が決壊して涙が喉仏を通過するどころか鎖骨も飛び越えて、
涙が乳首に到達するぐらいの勢いで(笑)、いやぁもう文句なしで泣けた泣けた。
ラストもほっこりクスッでいい終わり方なんだよね。ヒューマンスクランブル系がお好きな方は是非。
やたらと軽い三浦友和を除いては宮崎あおい始め他キャストも皆さん流石でしたのう。
そして主演の岡田准一な。ホンマこの映画の岡田は凄いんや。
岡田は常に凄いのだが、SPになると特に(ツッコミどころも)凄いのだが、
そんなこんなで岡田はどこもかしこも凄いのだが、中でも特に顔が凄いのだが、
この映画の岡田はあまり顔が気にならん。顔以上にガチムチなバディが気になる。もとい、
いつもなら「オットコマエやわ〜(ぽ)」と感心したり惚れ惚れしたりする岡田の顔ですが、
今回は“顔”というよりも“表情”に惚れるんじゃ。岡田の表情に惚れて演技に惚れる。
この映画で岡田は役者としての評価も更に上がるんちゃうか。間違いなく代表作になるぞ。