映画『ぐるりのこと。』

映画『ぐるりのこと。』http://www.gururinokoto.jp/
橋口亮輔監督6年ぶりの新作がね、今年1かもってぐらい良くて・・あぁもう本当に良かったの。
どこにでもいそうな普通の夫婦(リリー・フランキー木村多江)の物語。
きっちり妻はセックスする日もきっちり決めてて、サボろうとする夫に懇々と諭すしょっぱなのシーンから笑わせてくれる。
長回し云々で言うと、この映画はどこから回しててどこでカット割ってるか見てる最中に分からんようになるぐらいの、
実に自然な2人のやり取り。こりゃ旦那はつらいなぁと、男性なら苦笑を隠しつつ爆笑するしかないのでは。
妊娠中の妻。2人のささやかな、だけど満ち足りた幸福感。だがー、しかーーし!・・・っていう展開でして。
まぁこの映画は色々と素晴らしいのだが、わし的にピクンときたのが「ヤァ〜な野郎の描き方」だったり。
あのね、いるでしょ。声を荒立てて抗議したりムカついたり無視しようと思ったりするほどでもないヤァ〜な人って。
論ってチャカしたりブーたれたり文句垂れたりするほどじゃない、何か・・こう、心がゾワンゾワンすることばかり言う人する人。
それが巧いんだわ。「こういう人いるいる!」「そしてこういうリアクションするわ!」ってさ。膝を打つゾワゾワ感。
松ヶ根乱射事件』が好きな人には分かるんちゃうかな、なんていうか、そういう人の描き方が絶品。
もちろんそれ以外も。ちゃんと人間を描いてるのね。妻が壊れていく理由ってのはまぁ物語としてはありがちなのかもしれんけど、
そういうのは見てる最中は感じなくて。そして「この旦那、さいっこーーーーー!!!!!(絶叫)」なのだ。
聖人君主でもなんでもないんだけど、いや、むしろ最悪?な部類かもしれんが・・んでも最高。
「今すぐリリー・フランキーと結婚したい!っていうか、します!そっくりさんでも可!」って思ったさ単純だから(笑)。
ん〜、あれは思うなぁ。これ他でも書いたからそっち見て欲しいんやけど、とにかくこの映画のリリー・フランキーはたまらんで。
それとも、もしかしたら旦那ってこういうものなのか。わしは独身なのでよく分からん。でも夫婦っていいなぁと。
結婚したくなった。めったくそに結婚したくなった。ちっきしょー、変なとこに火をつけてくれたもんだぜ厄介な(笑)。